刺し子のジャケットを憲法黒に染め直し:染め直しの魅力と可能性

色あせた刺し子ジャケットに、新たな命を吹き込む – 憲法黒への挑戦!

こんにちは、染め屋 貴久です。
今日は、長年大切に着てこられた刺し子のジャケットを、憲法黒へと染め直した事例をご紹介します。

もともとは、藍染めで仕立てられた綿素材の刺し子ジャケット。
年月とともに味わいを増しながらも、どうしても避けられないのが色あせ。
特に刺し子のように立体感のある布は、摩擦によって表面の色落ちが目立ちやすいものです。

今回は、ただ修復するだけでなく、新たな表情を持たせたいという思いから、深く落ち着いた「憲法黒」への染め直しに挑みました。

味わい深い刺し子ジャケット、時を経て色褪せたその姿

今回の主役は、刺し子のジャケット。
素材はオールコットン。素朴で手触りのいい布地に、丁寧なステッチが施されています。

元の色は藍染めの紺色。
使用年数は約7年。

全体的に摩耗による色あせが進み、特に肩や袖口、裾などは白っぽくなっていました。

お客様からのご相談は、
「この刺し子ジャケット、もっとシックな感じにできないかな?」
というもの。

思い出もたくさん詰まった一着だからこそ、手放すのではなく生まれ変わらせたい。
そんな思いに応えるべく、染め直しをお引き受けしました。

憲法黒がもたらす凛とした佇まい – 仕上がりの魅力を徹底紹介!

染め直し後の刺し子ジャケットは、まるで生まれ変わったかのようでした。

選んだ色は、「憲法黒」。

  • 深みのある黒。
  • 光の加減でわずかにグリーンを感じさせる、奥行きのある色合い。
  • 生地の立体感を活かしながらも、全体をきゅっと引き締める効果。

元の藍染めは、濃紺から徐々に白みを帯びていましたが、
憲法黒は非常に濃いため、元色の影響をほとんど受けません。

結果、刺し子の凹凸の陰影までもが美しく引き立ち、
まさに大人の粋なジャケットへと進化しました。

染め直しが叶える、もう一度着たくなる三つの理由

今回の染め直しで感じた、刺し子ジャケットがさらに輝いたポイントをまとめます。

① 色あせやシミをしっかりカバー

濃い憲法黒に染めることで、色ムラや小さなシミも自然にカバーできました。
新品同様とまではいかなくても、「これならまた着たい!」と思えるレベルに。

② 落ち着いた印象へと変身

刺し子の存在感はそのままに、全体に落ち着きと品がプラスされました。
街歩きにも、カジュアルなディナーにも似合う一着に。

③ サステナブルな選択

新しい服を買う代わりに、手持ちの愛着ある一着を再生。
これは、環境にも優しく、自分にも優しい選択です。

職人の手仕事が織りなす、憲法黒の奥深いプロセス

染め直しの工程についても、少しご紹介します。

今回の憲法黒染めは、単純な「黒い染料で染める」だけではありません。

藍染めからのスタート

まず、もともとの刺し子ジャケットを一度藍で染め直し、より均一なベースカラーに整えます。
これが憲法黒の深みを支える土台になります。

楊梅(やまもも)で重ね染め

次に使うのが、「楊梅(やまもも)」という植物染料。
東アジアに自生する樹木で、赤みのある色素を持つ。

鉄媒染によって、深い黒~ダークグリーンを生み出します。
この楊梅染めを、藍の上から丁寧に重ねていきます。

鉄媒染で色を固定

最後に、鉄媒染という技術を使い、染めた色素を生地にしっかりと定着させます。
鉄媒染によって、赤みを帯びた楊梅の色がぐっと黒く沈み、あの独特の「憲法黒」に仕上がるのです。

あなたの大切な一着にも、新たな物語を。染め直しのすすめ

染め直しは、ただ服の見た目を直すだけではありません。

  • 思い出の詰まった一着を、これからも一緒に歩んでいくために。
  • 手放すには惜しいけれど、少しイメージを変えたいときに。
  • 自分だけの、世界に一着だけの洋服を作りたいときに。

染め屋 貴久では、そんなお客様の想いに寄り添いながら、
一点一点、手作業で丁寧に染め直しを行っています。

「染め直してみたいな」と思った瞬間が、あなたと服の新たなストーリーのはじまりです。

ぜひ、お気軽にご相談くださいね。

憲法黒に宿る想いとともに – 色あせた服が紡ぐ新たなストーリー

今回ご紹介した刺し子ジャケットは、
「もう一度着たい」と願う気持ちに応えて、見事に新しい表情を手に入れました。

天然染料の力と、職人の手仕事の温もりが加わることで、
ただのリペアではない、「新しい物語」をまとう一着に生まれ変わる。

そんな染め直しの魅力を、これからもたくさんの方に届けたいと思っています。

お問い合わせを心よりお待ちしています!

その他の憲法黒のブログ記事です。
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染め直し 草木染めで黒色に染める

草木染めで黒色に染め直す手法を紹介しています。染める染料や媒染の方法などを詳しく説明しています。

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