草木染めでの染め直しでシミが消えた!

どんなシミだったの?

今回の染め直しは私物のユニクロのパーカーです。

永く着用していたので汗染みが酷く出ていました。
特に襟ぐりが酷く茶色のシミになっています。
永く放置しているとシミになりますのでご注意ください。
皆さんもタンスに永く置いていた洋服が黄ばんでしまって驚かれたことはありませんか?

染め直しの出来ないシミはある


染め直しの場合に注意しなければいけないことがあります。
汗染みの場合、皮脂のタンパク質が付着しているとそのタンパク質に染料が反応してより濃いシミになったりします。
シミを目立たなくしようと思っても余計にひどくなる場合があります。

たとえば草木で染める時に、下染めに呉汁(ごじる)を使用します。
呉汁とは大豆を水に浸してすり潰したものです。

大豆は植物性のタンパク質ですので染料が反応して濃く染めることが出来ます。
昔から染色の下染めとしてよく使われてきました。

このようにタンパク質には染料を濃くする作用があります。

ただシミを見ただけでは何のシミかわからない場合がほとんどです。
又シミは見えませんが繊維の中に潜んでいるたんぱく質等があります。
洗濯でも取れなかったしつこい物質です。

これらは、染めてみないとわからない厄介なシミです。

襟汗染み

襟の内側が汗染みで変色して茶色になっています。 

本当にこのシミが目立たなくなるのかなぁって思いますよね。

染め直しのできる生地は?

天然繊維にしか染まりません

染め直しのできる生地は、綿・麻などの天然繊維になります。
ポリエステルやナイロンなどの合成繊維には染めることが出来ません。

じゃあ合成繊維が少しでも入っていたらダメなの?
そんなことはありません。
綿などの天然繊維との混紡の場合は染めることが出来ます。
ただし天然繊維の率が50%以上は必要です。

合成繊維部分は染まりませんが綿などの天然繊維の部分が染まります。
少し薄くなったり杢調になったりはしますが

パーカーの生地は何だったの?

パーカーの生地は綿100%です。
裏パイル地で糸も太く撚りも甘いので比較的染めやすい素材でした。

ワイシャツの生地のような目の詰まった糸の細い生地は染めづらいです。

糸が細いと染液が浸透しにくく又目が詰まっていると生地自体に染液が入っていきにくいからです。

色は杢調の白グレー色でした。
白グレー色ですので元色の影響を受けにくく染料の色に染めることが出来ました。

今回の染め直しは、草木で染める藤鼠色で染めました。

藤鼠色の染料は何を使うの?

藤鼠色(ふじねずいろ)に染めるには、草木染めの染料の五倍子(ごばいし)を使用します。
五倍子はウルシ科ヌルデ属の葉の付け根に出来る虫こぶを乾かしたものです。
ヌルデシロアブラムシの幼虫などが寄生し傷などの刺激に樹木の組織が肥大化し虫こぶとなります。

専門的なことはさておき今回は五倍子の染料を使います。

藤鼠色の染め方

藤鼠色に染めます。
分量はパーカー500gの場合の分量です。
貴久で染め直しているやり方とは違いますが簡単な方法をご説明します。

  1. 五倍子200gを煮出して染液を作ります。
    13Lのお湯を鍋に入れて沸騰させずにぐつぐつと出汁をとるみたいにじっくりと煮込んで下さい。
  2. パーカーをお湯で洗ってください。
    これはパーカーに付いているタンパク質などの汚れを取るためです。
  3. パーカーをミョウバン液で媒染をします。
    染める前に先に媒染をします。(先媒染)
    ミョウバン液は17Lのお湯に焼きミョウバン50gを溶かしてください。
  4. 先ほど煮出した染液に水を入れ17Lにします。
    パーカーを染液に浸けて沸騰しないように煮ていきます。
    温度は大体60℃くらいまででしょうか。
    ゆっくりと20分くらいムラにならないようにかき混ぜながらキープして下さい。
  5. 今度は鉄媒染をします。
    40℃のお湯17Lに木酢酸鉄の液15Lを入れて媒染液を作って下さい。
    その中に20分間浸けて下さい。
    ムラにならないように混ぜながら浸けて下さい。
    するとパーカーが藤鼠色に変化していきます。
  6. 鉄媒染の液から取り出しもう一度先ほどの染液に入れて煮ます。
    50℃くらいまで上げて10分キープし火を止めます。
  7. 30分ほど放置してその後洗濯をして下さい。

陰干ししたら完成です。

簡単な方法をお伝えしましたが1つだけ注意点があります。

貴久でお客様の依頼品を染め直すのとは違う方法になります。
簡単な方法をご説明させて頂きました。

それでも小さな物なら大丈夫ですがパーカーくらいの大きさになると新たなムラになったり致します。
ご自分でなさるときは小さなものから練習してからのほうが良いかと思います。

染め直しの結果は?

今回は綺麗にシミが分らなくなりました。
うまくきれいな藤鼠色に染まりました。

紐の部分は染まりが悪いですが、おそらく天然繊維ではなくポリエステルなどの合成繊維だったと思います。

袖口のシミも目立たなくなりました。

今回の染め直しは成功でした。
まるで新品になったようになりました。

最初にお伝えしたようにシミのすべてが目立たなくなるわけではありませんのでご注意ください。

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